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OLオクサマのふぇろもん
第3章 Scene.03
 
 面長の顔立ちに、細い眉に左の目元にあるホクロ。

 ルージュが引かれた、ふっくらとしたピンク色の唇。

 整った顔立ちで笑顔を向けられ、マトモに見る事なんて出来やしない。

「これはぁ……ここよねぇ」

 棚とボクの間に体を割り込ませる彼女。

 甘い香りが強くなる。

 ここまで近付いた事なんて今までに無かっただけに、妙に鼓動が速まる。

「ほ、ボクがやりましょうか?」

「あらぁ。これくらいならぁ……っく……大丈夫よぉ」

 胸の高さくらいの身長しかない彼女が、目の前でプルプル震えながら腕を伸ばす。

 伸ばした左腕。

 書類のファイルを抓む中指には指輪。

 彼女が結婚したと聞かされた時の、あの上司二人組の落胆振りはハンパなかった。

 結婚した後も、彼女をネタにして下衆い話をしているからタチが悪い。

「あの……気を付けて……下さいね……。霧島さん」

「あらあらぁ。書類なら、ちゃんと仕舞えましたよぉ?」





 心配だ。
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