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背徳のディスタンス
第5章 淫らな遊び

 仕事が始まった。奈々は顧客を確認しながら電話をかけていく。
 コールセンターの仕事は大きくわけて二つあり、インバウンドとアウトバウンドと呼ばれている。インバウンドは電話を受ける業務。アウトバウンドはこちらから電話をかける業務。
 奈々の会社は、請け負った商品やサービスを売ったり案内したりしている。今月から新たに加わった商品が一つあり、そちらを顧客に買ってもらうための営業が、最近の主な業務になっていた。
 奈々はリストを見ながら営業の電話をかけた。
 午前中のアウトバウンドだけで、奈々は三件の顧客に商品を購入してもらうことができた。まずまずの出来だ。
 昼をまわり、次々と社員たちが席を離れて休憩し始める頃、奈々はまだパソコンのディスプレイとにらめっこしていた。新規の顧客の情報を入力していたのだ。
 まさかのそのタイミングでだった。

「あ……っ」

 突然、ブラが振動し始めたのだ。仕事に夢中だった奈々は小さく悲鳴を洩らした。下着に取り付けられたローターを振動させられたのだ。
 慌てて振り向くと、コーヒー片手に望が奈々を見つめていた。
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