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いとおしい青
第17章 冷たい唇
「ありがとうございます。助かりました。…由貴さん?」

「え? はい」
由貴は考え事をしていた。

早くこの人から離れないと…
「もしかして俺に見とれてました?」

「まさか…そんなことないわ!」
私のバカ!こんな態度じゃ
まるで認めてるみたいじゃないの。
急いで由貴は目を逸らす。

「本当に?確かめさせて下さい。…」

そう言うと井口は由貴の額に手を添えて唇を奪った。
由貴の体温の中に冷たい温度が入ってくる。

「んむぅっ…!!?」
由貴は離れようと抵抗するが
あっさり井口に手を握られ邪魔される。

「痛っ!!」

由貴は井口の唇を噛んだ。
うっすら血が滲んでいる。

「二度とこんな事しないで下さい!
からかうなら他の女にすればいいじゃない!!」
由貴は雨の中走って帰っていった。

「怒ってもかわいいなぁ!反応おもしろすぎ。」
そう言いながら井口は右手で唇を拭った。





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