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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド
ビクンと反応した合坂が『Yume』の首筋から顔を上げてこっちを見た。


怪訝そうに眉を寄せる表情。


そのまま、『Yume』の腕を掴んだまま固まって居る。


そして。


徐に、口を開いた。




「あんた……誰? 何の権限で俺に暴言を吐く? 」




ふっ…………。


俺は、うっすらと笑みを方頬に浮かべる。


嘲笑とも取れるだろう、微笑み。


矜持が高ければ。


だが、絵画『モナリザ』のように、総ての心の内を隠し通して浮かべる笑みは口元を見ただけでは本当の意味合いは、解らない。


俺は、そう言う微笑みを、『演技』として合坂に見せ付けた。


合坂が、俺の表情全体を見て怒れば、合坂の勝ち。


奴が、見た目程、馬鹿では無いと認めよう。


けれど奴が俺の口元だけを見て何の言葉も発しなければ、手酷く糾弾しようと思う。


まぁ、俺だってとやかく言う程人生深く生きてはいないが、一般常識位は弁えている。


逸れすら解らないのだと、判断された輩を、演技にて諭すのは、間違いでは無いだろう?


俺は、そう考えたんだ。


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