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Vesica Pisces
第16章 太陽は静寂を憂う
女ってのは恐いもんだと思った。

それからは何をどう言われても避妊だけはする、自分と、周りを守る為に。

自分で用意したゴム以上はしない。

「その時だけ、です」

チラッと伽耶を伺う。

「ビョーキとかの検査もちゃんと受けてたし…お前と付き合ってからは、他は見えてない」

『当たり前だよ』

当たり前だけど、再確認なんだよ。

こんなカッコ悪いところ晒したくねー。

「お前は?俺以外の…誰とどんな事してたわけ?」

積極的に聞きたい話じゃないけど、うやむやにしてたら、いつか貯まりに貯まって溢れそうだ。

「教えてよ、全部…特にあの、英との事」

表情に出るバカ正直なところが、こんな時には何だかむっとしてしまう。

自分から振ったくせに。

なかなか口を破ろうとしない伽耶を引き寄せて、逃げられないように腰を抱いた。

「言ってみ?」

露骨に嫌がる伽耶。

「言えって」

『思い出したくない』

「ちゃんと消してやるよ」

むーっと尖らせた唇に、あやす様にキスをして。

二度目は序章の様に深く、熱く舌を絡めて、息も絶え絶えになるくらい長く長いキスに沈めた。

唇を離した伽耶の目はとろりと柔んでいて、緩りと口を開いた。
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