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Vesica Pisces
第18章 太陽は静寂を誘う
鋭いな…。

「取材がこの下であって通り掛かったんだよ、たまにはこういうとこもいいかなって」

『なんか緊張するね』

ふふっと肩を竦める伽耶。

眼下に広がる宝石箱みたいなキラキラした街並みを伽耶はじっと見つめている。

「デザートお持ちしますね」

ギャルソンが皿を下げにくる。

「悪ぃ、電話してくる」

頷く伽耶を残してその場から離れる。

店の入り口近くまで来て、大きく溜息を吐いた。

「何で居るんだよ?」

嘉登に未知、万里と和可菜、そしてアル。

「まあまあ、細かい事はいーじゃん、二人の門出を祝いたいんだよ」

「うっせ、帰れ!」

「見守ってやるから」

「やーん、なんか私までドキドキしてきた」

勝手に盛り上がる4人を尻目に、借りたロッカールームで着替えると、大きく深呼吸をしてその場を出た。

ケーキは既に運ばれた事、伽耶は手をつけずに俺を待って居る事を聞かされる。


小さな紙袋からそれを取り出して、両手に握ると静かに伽耶の元へと歩を進めた。

さっきより少しだけ落とされた照明、伽耶は窓の外を見つめている。

嘉登らが伽耶の背後、テーブル2つ分奥に居たけれど、どうやら気づいていないらしい。

心臓が煩い。
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