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Vesica Pisces
第1章 太陽×静寂=99…
ホテルに戻り、パソコンに取り込んだ何千、何万枚という画像をチェックしていく。

チェックするのはクルーのメインカメラマン、オルソ。

「おおっ、コレだな」

オルソが選んだのは折れた大木が凍り、それに雪が積もった天然のジブからのスイッチダブルコーク、その瞬間。

右手はしっかりとボードの裏のスポンサー名を指している。

撮影したのは今回初めてクルーに加わったブリュノだ。

感極まって泣きだすブリュノ。

それもそのはず、ブリュノはこのクルーに加わった時から尋常じゃない程、歓喜、興奮していた。

「そろそろ出れる?」

ノックとともに開いたドアからひょっこり顔を覗かせたのはボーダーの面々。

ソティリオにエディ、ベッカー、そして。

「トオル!!」

泣き顔のまま両腕を広げて、彼の元へと駆け寄る。

「お前マジ、なんなの?」

クルーに加わった時、ブリュノは彼が今回の被写体だという事を聞かされていなかった。

現地入りし、顔合わせをした時も日本人だというだけで目も合わせなかったくらいだ。

だが、その日本人があのトオルだと知った時のブリュノの驚愕ぶりは一同の爆笑を誘った。
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