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Vesica Pisces
第4章 太陽は静寂を開く
「は?なんで?」

『初めてあった時機嫌悪そうだったから、私みたいなのが場違いに居たからかなって思ったの』

嘉登に肩を抱かれて歩くのを見たからなんて、口が裂けても言えない。

「ちっげーし、お前が…喋んないからじゃん」

角に座ったのは不味かった、全部見えるんだ、逃げ場がない。

頬杖を付いて口元を隠してしまう。

『ごめん、口元見えないとわからないの』

困ったように覗き込む伽耶に、心臓がばくばくと音を立てた。

「機嫌悪かったのはただの寝不足!」

『そっか…そっか!良かった、でもその後も大体機嫌悪かったから』

嘉登とくっついてるのが気に食わなかったなんて、言えるわけがない。

「手話しないからだろーが、なんで使わねーんだよ」

複雑な表情で戸惑う伽耶。

手話をするという事は、周りに自分は耳が聞こえず喋れないという事を知らせる行為だ。

言わなければわからないのが聴覚障害。

『皆んながみんな優しく受け入れてくれるわけじゃないから、教えないままの方が良いこともあるの』

「俺は話したいし、知りたい」

ぐいっとビールを煽った。

「俺が話すときに使うのが口で、お前は手、それだけだろ?」

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