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禁煙チュウ
第7章 お泊り
ちゅ、ちゅ、と短く唇を合わせる。じゃれつくみたいに。からかうみたいに。
宮田さんはそのうち焦れて、本格的にキスを返してくれるだろう。
そう思ったらじんわり体の芯が暖かくなる。

「っ、ん、……いしい……」
宮田さんの声がキスの合間に漏れる。熱く湿った息が頬を撫でる。わたしを呼ぶ唇の動きを自分の唇で感じるのはとても嬉しくて、気持ち良くて。
ますます首にしがみついてキスを重ねる。

宮田さんがわたしを押しつぶさないように腕に力を入れてるのが解る。いいのに。
ぴったりくっついて、全部重なってしまえばいいのに。

「まって……。ン、待ってって、石井!」
手首を掴まれて布団に押し付けられてしまった。
「あ……」
離れてしまった唇がすぅすぅする。

宮田さんは息を乱してわたしを見つめている。
「ちょっと、こんなの、我慢できなくなるでしょうが……」
いいのに、しなくて。
そう反射的に思うけど、まだ確かにちょっと怖い。
それに我慢しようとしてくれてるのが嬉しい。

宮田さんはゴロン、とわたしの横に寝転んだ。
「あ~~~っ」
宮田さんは声を出しながらごしごしと顔を擦る。
と、ガバッと起き上がってわたしを見下ろして、
「石井はさぁ! 石井は……俺と雪乃のこと怒んないの。気にしてないの。それともどうでもいいの」
と言った。
うーん。

「どうでもいいことないです。すごく、嫌でした」
宮田さんは少し驚いた顔をする。
「そう、か」
「はい。でも……そういうこともあるんだろうなって。男女には」
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