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同棲中の彼とのセックスレスを解消したい!
第5章 糸口
 よく晴れた土曜日。買い出しを済ませてから、わたしたちはアルバイト先へと向かった。
 薄墨(うすずみ)を流したように、夜の気配が少しずつ空に広がっていく。
 頬にあたる風が少し冷たい。

 時々、こうして横を歩くはじめが今何を思い考えているのか気になって不安になることがある。
 彼の気持ちは彼にしかわからない。
 真正面から問いただしてみても、きっと彼はその気持ちをすっかり話してくれることはない。そう思うのは、わたしのほうこそ彼に話していないものがあるから……だろうな。

 滞り続けているモヤモヤとした不安な気持ちを話してしまったら、彼の気持ちが離れてしまうかもしれない。
 彼を傷つけてしまうかもしれない。
 彼を責めるような言葉を使ってしまうかもしれない。
 彼は悪くないのに──。そう思うと、話そうとしても話せなかった。

 わたしたちの関係は歪(いびつ)だ、と思うことが増えた。
 前はこんなふうに思うことなんてなかったのに。
 ただ無邪気にお互いを求め合い、笑い合っていた日々が遠すぎる。戻れるのかしら。


「今日はこちらのお部屋です」

 アルバイト先に着き、部屋へと案内される。
 部屋に入ってから荷物をおろし、いつもと同じように飲み物をオーダーする。
 マジックミラーの向こうにまだ人影はない。コーヒーが運ばれてくる。ソファーに並んで座り、それを飲んだ。
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