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恋はいつでも平行線【完結】
第20章 *二十*
雪さんの後ろに、雪さんの分身のような水の塊がゆらゆら揺れていた。
人間の形の、透明な水の塊。
後ろの景色が、水槽越しに見るかのように、ゆらゆらしている。
「あぁ、とっても上手くいきました。やはり柚希さまの蜜は特別ですね」
雪さんは悦にいるような声を上げると、わたしから離れて、水の塊に触れた。
それはちゃぷん……と音を立てて、揺れた。
「柚希さま、名前を与えてください」
「……名前?」
「はい。私の雪という名は、前の奥さまがつけてくださいました」
雪という名は、祖母がつけたというのか。
となると、雪さんは、少なくとも祖母が当主をしていた頃からいたということになる。
それなのに、見た目が変わらないってどういうことなのだろう。
いや、彼女(?)は水が人の姿になっているということだから、不思議はない……のかもしれない。
「柚希さま?」
「え、あ、はい」
「名前、つけてくださらないのですか?」
雪さんと水の塊はずいっとわたしに迫ってきた。
これ、逃げられない……デスネ。
「見た目がこんなだから、名前をつけられない?」
雪さんは小首を傾げた後、水の塊に視線を向けた途端。
「────っ!」
水の塊が伸びたかと思ったら、わたしの頭の上から襲いかかってきて、飲み込まれた。
着ていた服はあっという間に濡れ、水の冷たさが肌を刺した。
「んーっ!」
水の塊はわたしを取り込み、もきゅもきゅと身体をまさぐっていく。
てっぺんからつま先まで取り込まれているため、息ができない。だけど、息苦しいという感じはない。
しかも、冷たい水なのだけど、わたしが気持ちいいところを的確に刺激していき、勝手に口が開き、口の中にまで水が入り込んできた。
口の中に入ってきた水はまるで意思があるかのようにうごめき、舌に絡めてきた。
それはまるで、ディープキスをしているかのようで……。
水にのみ込まれているのに、口内にとどまり、舌を絡め取るだけだった。
それがどれだけ続いたのか分からないけれど、さすがに息苦しくなった頃、水はわたしの身体を撫でるようにうごめいて、離れていったのが分かった。
身体から力が抜けて、崩れ落ちそうになったところを、知らない力強い腕が、身体を支えてくれた。
「あら、男性形になったのね」
人間の形の、透明な水の塊。
後ろの景色が、水槽越しに見るかのように、ゆらゆらしている。
「あぁ、とっても上手くいきました。やはり柚希さまの蜜は特別ですね」
雪さんは悦にいるような声を上げると、わたしから離れて、水の塊に触れた。
それはちゃぷん……と音を立てて、揺れた。
「柚希さま、名前を与えてください」
「……名前?」
「はい。私の雪という名は、前の奥さまがつけてくださいました」
雪という名は、祖母がつけたというのか。
となると、雪さんは、少なくとも祖母が当主をしていた頃からいたということになる。
それなのに、見た目が変わらないってどういうことなのだろう。
いや、彼女(?)は水が人の姿になっているということだから、不思議はない……のかもしれない。
「柚希さま?」
「え、あ、はい」
「名前、つけてくださらないのですか?」
雪さんと水の塊はずいっとわたしに迫ってきた。
これ、逃げられない……デスネ。
「見た目がこんなだから、名前をつけられない?」
雪さんは小首を傾げた後、水の塊に視線を向けた途端。
「────っ!」
水の塊が伸びたかと思ったら、わたしの頭の上から襲いかかってきて、飲み込まれた。
着ていた服はあっという間に濡れ、水の冷たさが肌を刺した。
「んーっ!」
水の塊はわたしを取り込み、もきゅもきゅと身体をまさぐっていく。
てっぺんからつま先まで取り込まれているため、息ができない。だけど、息苦しいという感じはない。
しかも、冷たい水なのだけど、わたしが気持ちいいところを的確に刺激していき、勝手に口が開き、口の中にまで水が入り込んできた。
口の中に入ってきた水はまるで意思があるかのようにうごめき、舌に絡めてきた。
それはまるで、ディープキスをしているかのようで……。
水にのみ込まれているのに、口内にとどまり、舌を絡め取るだけだった。
それがどれだけ続いたのか分からないけれど、さすがに息苦しくなった頃、水はわたしの身体を撫でるようにうごめいて、離れていったのが分かった。
身体から力が抜けて、崩れ落ちそうになったところを、知らない力強い腕が、身体を支えてくれた。
「あら、男性形になったのね」