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恋はいつでも平行線【完結】
第23章 *二十三*
 真っ直ぐに好意を表してくれる青のこと、とても好ましいし、好きだって思う。
 でも、そう思うと同時に、なんでだろう、嫌いなはずなのに臣哉のことがちらついて、うなずけない。
 だって、あの、臣哉、だよ?
 嫌だって言ったのに、無理矢理奪っていった、デリカシーの欠片もない、自分のことしか考えていない、あの、臣哉、だよ?
 青ももしかしたら自分のことしか考えていないのかもしれないけれど、それでも、わたしのことをこうして心配して、そして、きちんと言葉にしてくれている。
 だれがどう見たって、青が人間ではないというのを除けば、青を選択するよね?

「柚希の答えは要らないよ。顔を見てたらなにを考えているか分かるから」
「……その」
「俺はね、柚希。自分たちのことしか考えてないんだよ? 柚希に気持ちよくなってもらえたら、それだけ、俺たち水は力を持てる。だから、柚希にその気になってもらうために、こんなことを言ってるんだよ」

 青は馬鹿だ。
 そんなの、言われなくても分かってるのに、あえてそう言うんだもの。
 それはきっと、わたしが青に抱かれて罪悪感を持たないようにという、青なりの優しさ、なんだと思う。
 自分のことしか考えてないっていいながら、きっとそうなんだろうけど、それでも、わたしに気を遣ってくれているのが分かる。
 だからその思いに応えたいのに、うなずけない。

「そういえば、左手、痛くない?」
「え……と、痛いけど、大丈夫」

 ちょっと動かしただけでずきずきするけど、気にしていたら痛みが強くなりそうだから、極力、意識しないようにしてた。

「俺、勝手だけど、また柚希の蜜を味わいたいから、ごめんね」

 青はそういうと、わたしを労りながら起き上がると、あっという間に布団の上に組み敷かれた。

「柚希に押し倒されてて、かなりムラムラしたから手加減しないよ」
「え、ちょ、えっ?」

 抵抗しようにも、左手が痛くて庇っていたら、青はわたしの服を手際よくすべて、脱がしてくれた。

「寒くないように包んであげる」

 青はそういうと、あの独特のぬるりとした温かな水に変化して、わたしを包み込んだ。
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