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Blue Roses〜2度目の恋 最後の愛〜
第3章 人形
理紗は病院のベッドの上で目を覚ました。周りを見回すと、イヴァンが独り掛けのソファーで頭を抱えて座っていた。理紗が目覚めた事に気が付くと、ベッドの傍に掛け寄り手を握ろうとした。

(…やめてっ!!触らないでっ。)

自分との結婚式を控えたイヴァンに親密な関係の女がいたことが理紗には許せなかった。

「理紗…悪かった…わたしがいけなかった。あの時わたしが一緒に帰って居たら…。」

レイプと裏切りで理紗の心は修復不可能な迄にズタズタに切り裂かれていた。

(…婚約は解消します。)

それは言葉にならず、息だけが理紗の口から洩れるだけだった。近くにあった、化粧ポーチやバッグをイヴァンにぶつけ、理紗は暴れた。

「理紗…許してくれ!」

イヴァンの大きな声に、すぐにナースやドクターが駆けつけ、理紗は鎮静剤を打たれた。

(やめて!やめて!)

大声をあげた筈なのに、やはり息が漏れるだけだった。嗅ぎ慣れない薬品の香りが鼻の奥にふわりと現れ、そして数秒でそれは消えた。

(わたしに触らないでーーーっ!!!)

「すぐに落ち着くと思いますよ。」

ナースに抑えられている理紗を医師は静かに見守りながらイヴァンに言った。

…ああ…視界が…歪んで…いく。

イヴァンは泣きながら口を押え、理紗の様子を眺めていた。看護師、医師、部屋にいるすべての人々の視線が理紗に向けられていた。

(わたしは…正気よ…注射なんて…いら…ない。)

理紗の大きな眼から涙が伝い始め、数分もすると、再びうとうとと眠りについた。
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