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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第5章 しのちゃんの受難(三)

 ガンガンする。
 頭の中がグラグラする。
 飲みすぎないように気をつけていたのに、結局このザマだ。
 飲みすぎないようにしていても、二日酔いはやって来るということだ。
 あぁ、気持ち悪い。

 それにしても、さっきからうるさいなぁ。ピンポンピンポン鳴らして。
 朝っぱらから、迷惑じゃないの。私は二日酔いで動きたくありません。帰ってください。
 ……ん?

「……だれ?」

 グラグラする頭で、雲の上を歩くかのように不確かな足取りで、私はインターホンにたどり着く。

 誰だ? 智子先生か?

「……はい」
『小夜先生、俺です、里見です』

 モニターの先にいたのは、間違いなく里見くんだ。
 なんで部屋番号を知っているのとか、なんで来たのとか、うまく回らない頭で考えても無駄だ。無理だった。

 私は何も考えずにロックを解除していた。
 解除したあとで、スッピンで、酒臭くて、パジャマで、髪ボサボサだと気づいたけれど、遅かった。

 里見くんは、嬉しそうに部屋までやってきた。

「おはようございます。看病しに来ました」

 別に病人じゃない、と睨むけれど、里見くんには通じない。里見くんが差し入れてくれた栄養ドリンクを一気飲みする。
 ……これはこれでありがたい。
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