この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
君がため(教師と教育実習生)《長編》
第8章 【回想】里見くんの失恋

 三月一日、卒業式。
 式には両親が揃って出席してくれた。
 入学式以来の晴れ姿に、母は少し涙し、父はどこか誇らしげな顔をしていたように思う。

「里見くん、あのっ」
「え?」
「ずっと好きでした! 付き合ってください!」

 同級生の、名前すら覚えていない女子からそう言われても、俺の心は全く動かない。
 ただ「ありがとう。でも、ごめん。好きな人がいるから」と断るだけだった。

 まだまだ賑やかな三年生の教室を離れ、俺は静かなA棟三階国語準備室の前に立つ。プレートは「在室」だ。

 ノックをすると、「はぁい」と間の抜けた声が聞こえてくる。
 この声が、たまらなく好きだ。好きだった。もう、これが最後だ。

「失礼します」

 ふわりと漂うコーヒーの香り。その部屋の中で、ふわりと微笑む俺の大好きな人。相変わらず、マグカップを手にして佇んでいる、俺の天使。

「里見くん、卒業おめでとうございます」

 俺は、覚悟を決めた。
 小夜先生、俺はやっぱり、あなたが好きだ。
/321ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ