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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)
うん?
私は空いている右手で指折り数える。私は今年二十七だから、教育実習は五年前のはず。
計算が合わない?
「六年前?」
「六年前の昨日」
「……教育実習では、ない?」
「はい」
え?
教育実習より前に、宗介に会っている?
宗介を見上げても、笑うだけでヒントはくれない。
思い出せ、ということか。
「六年越しの想いが小夜に伝わったから、『長かった』って言ったんだよ、俺」
「それはそれは……だいぶお待たせしたみたいで」
「本当に。いっぱい待った。待ちくたびれた」
宗介は繋ぐ手にぐっと力を込める。
痛い、痛いよ! 私、怒られるようなこと、何もしていないよ!
「だから、今夜はとことん付き合って」
「……」
「俺の誕生日だからね」
楽しみだなぁと宗介は笑う。
「今夜は眠りたくないな。ずっと小夜を貪りたい」
さっきのセックスを思い出して引きつった笑みになってしまう。あんな濃厚なのは当分はいいです!

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