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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)

「私の体なんて見たことなかったのに?」
「男子高校生の想像力を舐めないで。穴が開くくらい見てたから」
「想像通りだった?」
「想像以上だった」

 宗介はもう鼻の下を伸ばしきった、イケメンとは程遠い顔をしている。自覚はなさそうだ。

「肌は白くてすべすべだし、すぐ真っ赤になるし、くびれてるし、柔らかいし、美味しいし、いいにお――むぐ」

 恥ずかしさのあまり、思わず宗介の口をふさいでしまう。泡はついていないと思うけど、ついていたとしても、自業自得だ。
 ほんとに、もう。

「小夜」
「うん?」
「今日初めてイッたでしょ?」

 もし、今、飲み物を飲んでいたら、吹き出していたに違いない。

 ……なぜ、バレた?

「真っ赤になっちゃって、かわいい」
「……なん、で?」
「なんか、そういう反応だった。高村礼二にイカされたことなかったんだね。俺が初めて? だったら嬉しい」

 初めて。
 男の人が「初めて」を気にするものだとは知っていたけれど、宗介も気にするんだなぁ。なんか、意外。

「男は女の『最初の男』になりたがり、女は男の『最後の女』になりたがる」だったか。
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