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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第10章 しのちゃんの受難(六)

「宗介、私」
「うん」
「宗介とするセックスは気持ちいいと思う」
「俺も、気持ちいい」

 ぎゅうと抱き寄せられるとその体温が気持ちいい。よく眠れそうだ。
 避妊具は使い切っていないと思うけど、さすがにしんどい。限界だ。睡魔が襲ってくる。

「小夜、寝る前に、お願い」
「んー、うん」

 耳元で「小夜」と名前を呼ばれて、閉じかけた目を開ける。宗介の切なそうな顔がうっすらと見える。

「そーすけ」
「うん、言って」

 言わないと寝かせない、という気迫が伝わってくる。そうだね、聞きたいよね。六年、待ったんだもんね。

「そーすけ、好き」

 強めのハグと、顔に落ちてくるキスを受け止めながら、私は少し安堵していた。
 あぁ、これで、眠れる……。

「おやすみ、そーすけ」
「駄目、眠らないで。勃っちゃった」
「むり」
「小夜、起きて。寝ちゃ駄目。中に出すよ」
「だめ」
「小夜、俺、我慢できないよ」
「……」
「もう、小夜!」

 ごめんねぇと思いながらも、あたたかい腕枕の中で、ようやく長い長い一日を終えることができて、私はホッとしたのだった。

 だから、お願い。ゆっくり、眠らせて。
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