この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
君がため(教師と教育実習生)《長編》
第11章 【回想】里見くんの決断

 玉置珈琲館のブレンドコーヒーを小夜先生は気に入っていたようで、国語準備室に必ず常備していた。よく買いに行っているのだろうと考えて、俺も珈琲館によく行くようになった。

「ブレンドで」

 通りが見渡せる窓際の席に座り、奥さんにそう告げてテキストとノートを開く。

「試験勉強?」
「はい。二週間くらい、通わせてもらってもいいですか? 店が混んできたら、帰るので」
「いいわよ。うちが満席になることなんてほとんどないからね」

 ごゆっくり、と微笑んで奥さんはカウンターの向こうへ消える。マスターは無言でサイフォンの準備をする。

 玉置珈琲館は、学園の近くにある小さな喫茶店だ。カウンター席五つと、テーブル席四つ、個室が二つ。個室は学園関係者の会議などで使われることがあるという。

 白とダークブラウンを基調とした内装で、レトロな雰囲気。けれど、開店して十年ちょっとなので、決して古くはない。

 カウンターの壁面には大きな棚が据え付けられており、販売用のコーヒー豆やディスプレイ用の缶などが所せましと置いてある。見ているだけでも面白い。
 マスターは無口なので、コーヒーの薀蓄などを語ってくれることはないけれど。

 コーヒーを淹れるのは、マスター。ホールで注文を取ったり軽食を準備するのが奥さん。
 ちなみに、ブレンドコーヒーと焼きハンバーグ定食が俺のお気に入りだ。

 玉置珈琲館を訪れるのは、ほとんどが近所の人か学園関係者。にもかかわらず、知り合いや関係のあった先生にはまだ会ったことがない。もちろん、小夜先生にも。
 まぁ、バレたら面倒なので、逆光で顔が見えづらい窓際の席に座っているのだ。
/321ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ