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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第14章 【回想】里見くんの協力者

 玉置珈琲館に通うようになっても、小夜先生にはなかなか会えない。
 仕方のないことだと割り切って、俺は学業と情報収集に力を注ぐことにした。

 三回生からのゼミは、数学のゼミではなく、クマ先生の後輩だという教育心理学の十条教授のゼミに応募。そして、何とかコネで参加することができた。
 使えるものはコネでも使わなければならないのだ。俺の計画のために。
 十条ゼミは、数学と心理の両方の視点から議論を交わしたり、教材を研究する場。特に「数学を苦手に思う生徒」へのアプローチを考えることに時間を割いていた。

 教員免許を取得するためには、教育実習だけではなく、他の施設での実習もある。社会福祉施設と特別支援学校での実習がそれに当たる。
 俺の場合は、大学の近くの特別老人ホームに五日間、特別支援学校に二日間、実習へ行った。つつがなく、実習は終えられたと思う。

 そして、三年の夏休み中に、学園に教育実習の内諾を貰いに行ったあと――彼女を、玉置珈琲館に呼び出したのだ。


◆◇◆◇◆


「お待たせいたしました」
「こちらこそ、ご足労いただきまして、ありがとうございます」

 玉置珈琲館の個室は、このとき初めて使った。見知った場所なのに、何だか知らない場所のように感じて、緊張していたように思う。
 着なれたはずのスーツが、やけに息苦しい。何度も深呼吸をして、彼女の正面に着座した。

「はい、こちらが里見さんのブレンド。こっちは梓のカフェオレね」
「はい、ありがと」
「ありがとうございます」

 玉置梓は緊張なんて全くしていないようだ。彼女の実家だから、当たり前か。
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