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君がため(教師と教育実習生)《長編》
第1章 しのちゃんの受難(一)

「しのちゃんオハヨー!」
「おはよう」
「しのセンセ、はよー」
「おはよう」

 生徒からの挨拶に返事をしながら、二階にある職員室に向かう。職員室に人はまばらだ。たいていこの時間には他の先生がいるはずなのに。
 あぁ、今日から教育実習だったな、と思って荷物を机に置く。先に担当教員と実習生が学園長室で顔合わせでもしているのだろう。

「あ、篠宮先生、おはようございます」
「おはようございます、木下先生」

 一年の数学教師が、こちらへやってくる。
 毎度疑問に思っているのだけれど、胸元のあいたブラウスとそのマイクロに近い革製のスカートは、一体どこで買ってくるのだろう。たぶん、実習生を悩殺するための勝負服なのだろうが、私より長く勤務している彼女のことを、実習生たちはよく知っているはず。彼女の誘いに乗るとは思えないのだけれど。
 そのおかげで、私は、朝からGカップが見られて眼福である。ほんと、黒いブラごと揉みしだいてやりたい。

「佐久間先生が数学の子取っちゃって、今年は私、暇になっちゃったわ」
「真面目な子なら、木下先生のところにも見学に行くんじゃないですか?」
「んふ、そうねぇ。若い子に見られながら授業するのは好きだから、もし暇そうにしていたら、私の授業勧めておいてね」

 よろしくーと笑顔で職員室を出ていく木下先生。歩くエロ、とは生徒たちが影で呼んでいるあだ名だけれど、そう名付けたくなる気持ちはよくわかる。ゆさゆさ揺れるGカップは女からしても魅力的だ。
 それにしても、彼女も難解な性癖を持っているものだ。教育実習生よりも、生徒のほうがはるかに若いのに。「若い子」である生徒から見られても興奮しないのだろうか。生徒はそういう対象ではないということだろうか。
 見られて嬉しい、と感じるその線引きは。

「成人しているかどうか、か……?」

 まぁ、そうだとしても、さすがに実習生に手は出さないだろう。いくら歩くエロな先生とはいえ、実習生と関係を持つことはないだろう。ないだろう。ない、よね。……まぁ、きっと、大丈夫。だよね?

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