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誰よりも君を愛する
第5章 亜矢子という女の子

亜矢子は一人っ子で子供の頃はおっとりした優しい女の子だった。
両親に大切に育てられ特に父親には溺愛されていた。
お絵描きしてもかけっこしても頭を撫でて褒めてくれる、亜矢子もそんな父親が大好きで甘えっぱなしだった。
『パパと結婚してあげる』が亜矢子の口癖で
父親はことの外喜んだ。
いつも膝に抱いては
『亜矢子は可愛いねぇ~』と言ってくれた。
小学校3年生のとき可愛い亜矢子を残し父親は事故で逝ってしまった。
それからの母親は両親の役目を果たそうと亜矢子の躾に厳しくなった。
ある日、亜矢子は(おねしょ)をしてしまった。
父親を亡くした寂しさ、忙しく働くようになった母親を一人お留守番をして待つ寂しさ。
そんな事が理由かわからない‥
でも間違いなく亜矢子の(おねしょ)はここから始まった‥
明るさは少しづつ失われ引っ込み思案になっていった。
一人でおトイレに行くのが怖くなってお漏らしすることもあった。
学校ではイジメの対象になった。
いつもどこか寂し気な暗い女の子。
髪を撫でて貰いたい‥
抱きしめられたい‥
『可愛いよ』
って言って欲しい‥
『パパ、パパ、会いたいよう』
心の叫びを胸に閉じ込める。
夢では大きな声で『パパ』と叫べるのに‥
亜矢子は間違いなくファザーコンプレックス。
自覚したのは良雄に愛されてから‥

