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Oshizuki Building Side Story
第7章 Turning point of love!
「ああ、陽菜……また今度、この奥に出してもいい?」
「今は……?」
「避妊具つけてる。……陽菜、そんなにあからさまに残念な顔をしないで」
「ああ、んっ、朱羽も……あからさまに、喜ばないで」

 額をこつんと合わせて、ふふと笑う。

「今年の6月だよ。楽しみだね」
「……うん」

 ――それは、あたし達の結婚式だ。
 ようやく気に入った会場で、式が予約出来た。

 それを今日、皆に告げたら皆が喜んだんだ。

 ……そう、夢であたしの妊娠を知った時と同じ反応を、皆がして。
 そして結城が衣里に告白して。

 ただ妊娠していなかっただけのこと。
 ただ沖縄ではなかっただけのこと。

 現実でも皆の祝福は続いている。

 あたしの中で、きっと朱羽との結婚は、子供が出来るのと同じくらい未知なるもので、不安と幸せが半々なんだろう。

「結婚式の前に、俺と陽菜の赤ちゃん、来てくれないかな……」
「でも周りに言われちゃうよ?」
「そんなの……」 

 朱羽は言う。
 
「悪く言う奴がいれば勝手に言えばいい。だけどそれ以上に、幸せな姿を見せつけてやればいいだけだ。俺達が望んで生まれた子だって教えてやろう」

 夢と同じ台詞を。

 夢でも現実でも、いつだってあたしの愛おしいひとは、あたしの不安を消してくれる。

 なにも心配になることなんてない。

「そうだね、パパ」
「……っ」
「夢の中で渉さんがね、あたし達の子供に、自分のことをお兄ちゃ……」
 
 言えなくなったのは、『パパ』に反応した朱羽が激しく動き出したからだ。
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