この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Oshizuki Building Side Story
第6章 Flapping to the future!
 
「カ……げほげほっ、しゅ……げほげほげほ!」

 なにか言いたげな目は涙で潤み、言葉にならない声はただの苦しげな咳に変わる。

 皆の注目を浴びながら、あたしが慌ててお水を差し出すと、それを一気に飲んで、再び咽せ……落ち着いたのはゆうに五分後だった。

「あ~、死ぬかと思った。お前、驚かせるか笑わせるか、どちらかひとつにしろよ。俺を殺すなって!」
「め、滅相もない! これは切実な相談でして」

 おしぼりで上品に口を拭うあたり、野生的な風貌や口調であっても、やはり優雅なお坊ちゃま育ちなのだろう。
 その渉さんに、若干哀れみの籠もった眼差しで、真剣な顔で言われた。

「……カバ。今年の猛暑は全国的に異常だ。しばらく冷房のところで涼んでいれば、きっとそんな妄想はなくなる。もしなんならカウンセラー紹介してやるが?」

「暑さのせいでも妄想のせいでもなく……」

 あたしは途端に目の奥が熱くなるのを感じて慌てて俯き、涙声を吐き出しそうな震える唇を噛みしめ、そしてぽつりぽつりと言った。

「あたし……朱羽に捨てられるかも」

 ……ああ駄目だ。声がやっぱり震えてしまった。

「一体なんでそんな風に思うんだ。どんなに日本が異常気象で狂いまくっても、朱羽は狂わねぇぞ。いつも通り、お前以外の女には塩対応なほどに涼しい。お前、朱羽の片想い歴なめんなよ?」
「でも……でもですよ? あたしがちょっと違う現場に出ないといけない仕事があって、新規の仕事の打ち合わせに朱羽が行ってくれた以降、10日間。時間中でも終業後でも飛び出していって、遅くまで家に戻らない。さらに先週、いつも週末本家に行っているのに、仕事で行けないからとあたしだけがお邪魔したじゃないですか。朱羽はそんな、仕事過多(ワーカーホリック)じゃなかったのに」
/152ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ