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LOVE JUICE
第3章 酔うなら眩しい夜がいい
眩しい閃光の残像が瞼の裏に焼き付いて焦げる。

それ程たしかあの時は酔っていた。
一緒に来た友人のグラスを奪い飲み干し、「んん、美味しい」なんて笑っていたっけ。

割れるほどの音楽は勝手に体を動かし、誰かの背中に支えられてかろうじて立っている。新品の靴はもう踏まれた跡で真っ黒。
クラブに来るなんてなぁ。私らしくない。
でも誘われたから来た、なんてここでは通用しない。

「代わりの取ってくる。何がいい?」

詫びのつもりで友人に問う。いつもより濃いアイメイクの彼女は艶やかで、私でさえぐらりとする。

「同じのでいいよ」

「わかった」

人波を抜けわざわざ人の少なそうなところを選び遠回りしながらフロアの隅のカウンターまでふらふらと歩く。
途中にとん、と誰かにぶつかり咄嗟に「ごめんなさい」と謝る。振り返ると相手も「ごめん大丈夫だった?」と。

「……大丈夫、です。そちらは」

「平気。今日人多いからな」

彼の目は黒く、睫毛の影が随分と色めいていた。少し長めの髪が鬱陶しいのか細い指で払っていた。

「へぇ……よく来るんですか」

元々人見知りの私はそれ以上彼の容姿をじっと見続けることはできず、目を逸らしてそう言葉を続ける。

「たまに。そっちは……あまり慣れていなそうだけど」

「今日は友人の付き添いで」

「え?なんて?」

一段と大きくなった音楽に掻き消され私の声は彼に届かなかったらしい。口元に耳を寄せられ心臓が跳ねる。

「ゆ、友人の付き添いで来たんです」

ふわりといい香りがした。酔いがまわる。今度は彼が私に聞こえるように話す。

「そう……ねぇ君ちゃんと知ってる?ここがどういう場所か」

「え?」

耳元で聞く彼の声は低く、それなのにはっきりと奥まで届くような心地がした。

「酔ってそんな顔で一人で歩いてたら襲われるよ?」

「えっ」
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