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痴漢脳小説2 ~ガールズバンドに男子の僕が入っちゃいました~
第6章 『仲間』
 夜になるとさすがに冷える。今日は特に気温が低いみたいだ。

 社長は僕の親戚でもあるから事情を理解して事務所での寝泊まりを許可してくれたけど、それでも要は居候みたいなもんだ。いくら寒くても自分一人の時に暖房をつけるのははばかられる。
 仕方なく僕は毛布にくるまって寒さをしのいでいたけど、そもそも毛布が薄い。寝床もソファだし。元々仮眠程度しか想定していないから寝泊まり用の寝具はない。暖房の援護が必要な毛布の防御力。

 寒いし辛い。

 火事の火元のお隣さんは死ぬほど謝ってくれて、火災保険も入るからボロ屋を建て替えるいい機会だから、と逆にこっちがなだめなければいけなかったくらい。実際我が家はあちこちガタがきていたし。母親にしても久しぶりに実家に帰るいい口実が出来た、と前向きにとらえている。父親も会社の寮での一人暮らしに久々に独り身気分を味わっているのか会社の同僚と飲みに行ったりと楽しそうにしている。

 だけど僕は住む家を失くしたロンリーボーイ。寒空に震えるストリートキャット。

 そんなことを馬鹿馬鹿しく繰り返し考えて朝を待つ。新しく買ったゲームにもせっかく無事だったアダルト動画にも手を付ける気にもなれない。深夜放送の通販番組を何となく眺めていた。

 そんな時、インターフォンが鳴り響いて僕は文字通り飛び上がった。

 こ、こんな夜中に誰が!?

 事務所の所在地は渋谷と原宿の真ん中くらい。とはいえ古い雑居ビルの一室。ファンキーな住人が中に人がいる気配を感じて殴り込みに来たのか、もしかしたらテレビの音が大きかったのか!?

 僕が一人軽いパニックになっていると、今度はドアを控えめにノックする音。
 その音に僕はなぜか安心を覚えた。怖い人や悪い人が出せる音ではない。さすがに僕もバンドと行動を共にしているうちに音には敏感になってきたみたいだ。
 とはいえ深夜の来客なんて一体誰だ? とやや緊張しながらそっとドアに近付き覗き穴から外をうかがう。

 そこに立っていたのは、長身で細身の女性。

「イズミさん?」
「こんな時間にごめん。寝てた?」
「いえ…あ、すいません、すぐに開けます」

 僕はガチャガチャと不器用にチェーンを外して鍵を開け、イズミさんを招き入れた。

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