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蝶が舞う時
第20章 究極の依頼
今夜の夕食はトンカツと刺し身が並べられた。

「何か最近は直ぐにお腹が空くの…」

「そりゃそうだ、双子だから栄養も二人分必要だから。」

菜摘は以前より食べる量が増えた。

そんな菜摘を見つめながら、今日の医師との会話を思い出す。

菜摘に何と言うべきか?

「おじさん、聞いてる? 」

「えっ、何だっけ?」

「もうおじさん、今日は変よ。何かあったの?」

「いや、別に…菜摘のおっぱいが少し大きくなったかな?と思った。」

「もうおじさん、変態ね。」

菜摘は笑って呆れていた。

「桂菜と奈菜はそっくりでしょうね…」

「そうだろ、一卵性だから…」

「見分けつくと思う?」

「大丈夫だよ。必ず見分ける特徴があるよ。」

「早く対面したいなぁ…」

「おじさん、最近ご無沙汰だから大丈夫?」

「何だよ、急に…」

「おじさん、辛いかなと思って…」

「大丈夫だよ。時々菜摘の厭らしい姿を想像して、一人で逝ってるから…」

「おじさん、ごめんね。出産したら気持ち良くさせてあげるからね。」

「嬉しくて涙が出そうだ…」

菜摘は笑い出した。



今夜は早めにベッドルームに入った。

菜摘はお腹が大きいので、横向きになり俺の手を握ってから寝入る。

二人で子供達の話をしていると、菜摘の寝息が聞こえてきた。

俺は天井を見つめながら今日の出来事を思い出す。

5年生存率は10%以下…

抗がん剤と放射線治療…

俺はいつまで生きられるのか?

菜摘の医学部合格と二人の子供の誕生と引き換えに俺の命を奪うのか…

神様は非情だなぁ…

不思議と死に対する恐怖はまだ少ない。

それよりは菜摘を一人にさせ、しかも二人の子供を一人で背負なければならない…

これも結局は運命なのか…

こんなことなら子供は作らなければ良かった…

菜摘のためにも…


さあ、どうするか? どうすればいいのか?

とりあえず、菜摘には出産後に話そう…

今の俺にはそれ以上考えつかない…


次の日、菜摘を大学まで送った後、再度大学病院に向かった。

順番を待っていたら、比較的早く診察室に呼ばれた。


「東条さん、どうされますか?」

俺は医師に事情を説明して、本格的な治療は菜摘の出産後から始める旨を伝えた。

医師は事情を理解するも、治療が遅れれば生存率が下がるリスクを説明した。




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