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蝶が舞う時
第21章 意志を継ぐ者
初老の男は淡々と話し出した。

「桐生美咲、今は○○市に住んでいます。」

俺は調査資料に目を通す。

「住所はそこに記載していますが、1DKのマンションに一人住まい。同居者はいません。」

「携帯の番号はそこに記載しています。」

「仕事は出会い系サイト▲▲での援助交際で、童顔な顔つきとスタイルの良さでかなりの固定客がついています。利用料金が3万円と割高で、収入は恐らく1ヶ月50万円位かと。」

俺は画像に一緒に写っているサングラスを掛けた男が気になった。

「画像に写る男の名前は加藤、元○○興産の幹部でしたが、1年前に引退して今は桐生のドライバー兼ボディーガードとして雇われています。○○興産は○○市の裏社会を傘下にしているヤクザ組織です…」

「凄い、よくここまで分かりましたね。」

「これが仕事です。私は定年退職するまでは刑事でした。なので今でも情報提供のコネは生きています。」

俺は全てのページを確認して胸元から財布を取り出し、

「資料はこれで十分です。」

財布から3万円を取り出して渡した。

「終了報酬です。」

「どうも、また何か有りましたら連絡下さい。」

男はお金を懐に入れると、席を立って去って行った。


電話番号はわかったが、俺は最初に連絡するのは避けた。

美咲の利用するサイトの掲示板にアクセスすることを考えた。


出会い系▲▲サイトの会員登録を済ませ、クレジットで会員料金を決済した。

大人の交際窓口からサイトに入り、掲載されている掲示板をチェックする。

掲載順に調べていくが、其らしき掲示が見あたらない。

日付は昨日に遡っていった。

しばらく探すと、其らしき掲示板が出てきたので、俺はこの掲示に返信を送った。


もし人違いだったら済みません。

美咲、元気か? おじさんだ。

たまたまこのサイトを見ていたら、美咲と思われる書き込みを発見した。

会いたいなぁ…

もし良ければ連絡をして下さい。

連絡先は …


美咲は連絡してくるだろうか?

俺はマンションに帰り、鎮痛剤を飲んでからベッドに横になる。

最近、鎮痛剤を飲んでも数時間後には背中の痛みが襲ってくるようになってきた。


しばらくうとうとしていたら、スマホの着信音が鳴る。

俺は電話に出た。

「もし、もし…」

「もし、もし、おじさん?」










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