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蝶が舞う時
第21章 意志を継ぐ者
菜摘が病院の夕食に俺の分も予約してくれたので、二人で夕食を食べた。

菜摘は少し食欲が出てきた。

「おじさん、菜摘は1週間で退院出来るけど、桂菜と奈菜は1ヶ月位かかると言われた。」

「ああ…おじさんもさっき3階で担当医から言われた。」

「寂しいなぁ…」

「菜摘が先に退院して準備を万全にすることだよ。それに桂菜と奈菜もベストな状態で退院した方がいい。」

「そうか…そうよね。」

「やはり菜摘は、おじさんがいないと何も出来ない…」

「そんなことはないよ。菜摘は一生懸命やっている。」

「少しおじさんから自立しないとね…」

「それは大事な事だけど…」

俺は言葉が詰まった。


消灯時間になり、俺は補助ベッドをセットして横になった。

菜摘はいつの間にか眠っていた。

俺は全く眠れない。

元家内は俺の意志を継いでくれるか?

出来れば菜摘を支えてくれる人が、もう一人欲しい…

俺は昔から友人と言える人が少なく、また人脈もない。

無いものはいくら考えても無い。

そんな中、俺はある人物を思い出した。

「今、何処で何をしているのだろう?」

とりあえず、明日連絡してみよう…



次の日、俺は病院を出ると、スマホの電話帳で番号を探しだし連絡してみた。

すると音声録音で

「この電話は現在使用されておりません。」

電話を換えたみたいだ…

他に連絡の手段が無いので、諦めてマンションに向かった。

途中信号待ちをしている時に、道路の脇の看板広告が目に入った。

○○興信所…人探し、浮気調査、人物調査等

俺はマンションに帰ってから、この興信所に連絡してみた。

家に残っていた画像と消息が不明になった時点までの経緯、それに以前使用していたスマホの電話番号を伝え、着手金5万円を振り込む。

調査日数が更にかかれば、追加料金が発生するとの事だった。


それから二日後興信所から連絡があり、調査を終了したので会って資料を渡すとの事だった。

俺は場所と時間を伝えてから出掛けて行った。

駅前のコーヒーショップで待っていたら、初老の男がやって来た。

「東条さん?」

「はい、そうです。」

男は椅子に座ると鞄から書類を取り出した。

「これを確認してください。」

テーブルに置かれたファイルはそんなに厚くなかった。


ファイルの冒頭は4枚の画像の美咲…



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