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蝶が舞う時
第6章 愛欲
食材の買い出しから戻ると、菜採はさっそく調理に取り掛かった。

「菜採、何か手伝おうか?」

菜採は食材をテーブルに並べながら

「大丈夫、おじさんはコーヒーでも飲んでTVでも観てて。」

俺はリビングに向かい、コーヒーを飲みながら煙草に火を着けた。

風呂の準備を思い出し、バスタオル2枚を寝室から取りだして浴室に向かい、バスタブに湯を入れた。

それからソファーに横になってTVを観ていると、睡魔が襲ってきた。


「おじさん、おじさん、出来たよ!」

俺はうたた寝をしていた。

テーブルに向かうと、ご飯と味噌汁、それにサラダを付け合わせにした唐揚げのプレートと、小皿に盛られた漬物…

完璧な晩御飯がそこにあった。

「菜採、凄いなあ…完璧じゃないか…」

「おじさん、菜採を見直した? 後は味ね。食べよう、食べよう!」

「ああ、食べよう、頂きます。」

俺はまず味噌汁を一口飲み、次に唐揚げを口に入れた。

ニンニク醤油風味の唐揚げは正に絶妙な味で、肉の食感もジューシー…

菜採は俺の顔をじっと見つめている。

「菜採、完璧!旨いよ。今まで食べた唐揚げで一番旨い。」

「本当!良かった。おじさんが喜んでくれて…」

「お母さんに教わってて良かった。」

「おじさん、菜採はお母さんさんから色んな料理を教わったよ。」

「いつか菜採がお嫁さんになっても困らない様にって…」

「そうか…じゃ、今お母さんは天国で泣いているかも」

「ええ? どうして?」

「菜採の恋人が、こんな親父なんだから…」

「そんなことない! お母さんは喜んでいる。菜採良かったねって…」

「おじさんと出会う前日、もうお金が無くて食べ物を買えず、ネットカフェでお母さんにお願いしたの…お母さん助けてって…、そしたら次の日におじさんと巡り会えた。」

「お母さんがきっとそうさせた、だから喜んでいるよ。」

「そうかなぁ~おじさんが死んで天国に行ったら、菜採のお母さんに酷く叱られそうだ。」

「おじさん、ダメ! 菜採より先に死んだら。菜採はまた独りになる。」

菜採はそう言うとお箸を置き、泣きそうに俺を見つめている。

「ゴメン、ゴメン、菜採、冗談だよ、おじさんは菜採が心配だから先に死ねない。」

「さぁ、食べよう、食べよう。」


(菜採、年齢差でわかるだろう…それは100%不可能…)




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