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《愛撫の先に…②》
第5章 占いのままに、
菜々美と呼ばれても彼女は振り返らずに歩き続けたがすぐにまた菜々美ちゃんと呼ばれなんともないような表情をたもちはしても背中を冷たいものが落ちてくるような震えを感じた。
その理由は知り合いでもない声が彼女の名前を呼ぶからだ。

『菜々美ちゃん』

呼ばないでよっ…
知り合いでもない人に名前にちゃん付けとか呼ばれると恐怖でしかないっ…
早く電車に乗らなきゃ、早くっ!

だけど足が震えて一歩一歩が遅くなる。


ガシッ、菜々美は声の男に腕を捕まれ改札からズズズッと靴のかかとを床にひきずられるかのように男に引っ張られ構内から外へ、そして公園へと連れて行かれる。

『離してっ』
彼女は必死だ。

『頼まれたという事で騒いでも無〜っ理』
男は面白そうに含み笑いを交えそう言う。

頼まれた?
誰に?
マザコン男?高瀬さん?あたしのバニーガールのコスプレを脱がそうとしたあの体格のいい肥満児?
それともいつかあたしを襲った人達?
それともたまごホリックの…

菜々美は寒気がしブルッと震えたのは心当たりがありすぎるせいだ。

『震えちゃってインじゃない』
男は楽しそうで今からの事を想像すらしているかのゲスい笑みを浮かべた。

スエットで休日をダラダラ過ごしてました感の赤ロン毛男が誰に何を頼まれたというの?
誰に何を?…

『誰に…頼まれたのが…あたしには心当たりなんて…あり、ありません…』
思考とは逆の事を言うのは早くこの美を離れたいからだ。

公園の噴水に下がる菜々美、楽しそうに一歩一歩追い詰めるスエット男の図は恐怖でしかない、構図のよう。

『誰にって知らないし、この女駄目にしてくれたらオッケーってそゆこと、今金ないし』
スエット男はスマホをみせた。

何故か数分前の菜々美が写っていて書き込みはたまごホリックという文字に膝がから崩れ落ちそうな感覚になる。

なんで?
なんでたまごホリックの?
駄目にって何を?

『さて楽しませてもらおっ』
スエット男はまた一歩歩き始めた。

✿ ✿ ✿

時を同じくしてスマホを見ていたのは聡で眉を寄せため息、そして。

✿ ✿ ✿

場面は菜々美がいる公園。
菜々美の片足は危うく噴水に浸かりそうになる。
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