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君を好きにならない
第12章 好きにならない
「ほんとですか?」

マサシは本気にしてないのか
相変わらず緩い笑顔なまま
酒を飲んだ


「あぁ…あの日
お前を連れて帰りたかったんだ」


俺は
あの日のマサシを
思い出していた


「今日のお前と一緒で
一人でマンションに帰るのが
嫌でさ…」


「……」



「お前も
寂しそうにしてたから
お前を癒してやる振りをして
自分が癒されようとしてた」



マサシから
笑顔は消え
何か言いたそうな顔で
俺を見つめた


「結局
嘘をついて
お前を連れて帰らなかったけどな
それからも寂しい時や
やりてー時は
せめて
キスでもすればよかったと
思ったりしたよ」




「…してくれたら

よかったのに…


ずっと
あの日のこと
教えてくれなかったのに

どうして
今日
話してくれたんですか?」



して欲しかった

そんなことを言うと
また俺に
文句言われると思ってるのか
マサシは
少しうつむき

また

手の甲を
唇につけた



「なんでだろうな


寂しいんじゃねーのかな…


帰りたいけど
帰りたくない

みたいな。


それとも単に
やりてーのかもしれないな


(苦笑)


あの時の俺に
言ってやりたいよ


真琴は
ぜってー無理だから
こいつと
やっとけって」


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