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君を好きにならない
第15章 どっちなんだよ

それから数時間後
マンションに戻る電車の中で
俺はオネェにメールを打っていた

多分

マサシは今夜あたり
slowに行くだろう


マサシが話さないなら
俺に何があったか
聞かなくてもいいが
もうマサシが
俺を追うことはない

できれば
いい男を紹介してやってくれ
話し相手でもいいから

と。



よし
これでとりあえず
マサシのことは置いておいて

次は
俺のことだよな…


はぁ…



今朝は
不意にしてしまったキスと
キスをいつでもやっていい
という真琴の承諾で
「ごっこ」のことが
上の空になっていたが…


あー…
もうすぐ
最寄りの駅に着いちまう


俺は真琴が書いた
最後の濡れ場の下書きを思い出し
思わず口元を手で隠した

俺が
真琴にあんなことを…


あ、あれ?


待てよ!


その時俺は
大変なことに
気が付いてしまった


あいつは
どっちのつもりなんだろう


真琴に
俺がタチだと
一切伝えてないが
まさか
真琴自身タチだと
想像してないだろうか


DVDを
いったいどっちの立場で
見てたんだろうか


一般的に
覚悟しやすいのは

タチ


あ、いやいや
俺は何を考えてんだ

まだ
恋人なのかどうか
ハッキリしてねーし
キスフレなのかも
しれねーのに


あ、違う

今からヤルのは
「ごっこ」だ。

ごっこで
あいつはどっちを…

まさか俺が猫なんてことはないよな?
お、俺が?!
いや、ないないない!
それだけは絶対無理


あーーっ…



俺の頭の中はパニックになり
尚更「ごっこ」に
暗雲が立ち込めた頃
俺の乗った電車は
目的地に到着してしまった
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