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第1章 餅つき
陽炎は、盗賊団ではあったが、元は独りで夜盗をしていた市九郎が、成り行きで拾った八尋や鷺に、仕事を手伝わせて稼ぎを分配し、稼ぐということや、稼いだ金を使うこと、喜びや楽しみを教えてくれた場である。
そこに兵衛が加わり、暫くは四人でいたが、年を追うごとに人が増えていった。
市九郎を慕っての者も、単に食いっぱぐれたくないだけで集ってくる者もいた。
市九郎は、生きる目的や意味を知らず、ただ無為に日をやり過ごすだけだった、生ける屍のようだった鷺や、長年モノとしていいように扱われてきた八尋に、色々な経験をさせてやりたいと、楽しい行事はなるべく取り入れた。元々そういった楽しいことが好きな性分でもあったのだろう。
どこかで調達してきた道具で、餅をついた。
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