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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第8章 仮面と憩い



結局のところ、早乙女という仮面で彼女を押し切った、その気になれば言動くらい簡単に変えられる‥‥何時の間にか、私も上手くなったものだ…




外回りという事で、仕事は早めに終了…
どうも昼間の鬱憤か、この頃稀に顔を出すカウンターバーへ…


勿論、ジーンズにTシャツと上着1枚のラフな格好、こういう時は髪型も前に戻している‥‥これが今の杉田季永。


自称画家、まるっきり嘘では無い、本当に画家を目指していた時期もあった‥‥子供の頃の話だが、入選した事もある、その時使ったのが杉田季永の名の始まり。


早乙女の名では面倒と、母方の苗字を使い、名前は漢字を変え、出来上がったのがこの名前。


意外に気に入っていて、プライベートでは良く使う、バレない為が一番の理由だが、偽りの私というのが面白い。



「・・バーボン…」


「はい、何時もので?」


「ああ・・・」


1ヶ月に数回程度顔を出すから、店のマスターには顔を覚えられてしまった…
とは言え、今の私を見て正体が分かる者など殆ど居ない、それくらい見た目は変わっている。



「どうぞ…
何時もお1人ですね」


「連れ立って来る女性が居なくてね、1人もそんなに悪くない」


「連れより、客‥でしたか…」


「さあ…
向こう次第‥かな?」


無理して女性を誘おうとは思ってはいない、不思議と勝手に女性の方が寄って来る‥それだけ。


時々、そこまで目立つのか私はと思ってしまう…
大柄だが、この身長程度なら結構居る‥では何故こうも女性が寄って来るのだろうか?


そう考えていたら、今日も1人・・・



「隣良いですか?」


「構わないよ…」


大概こんな感じ…
1時間も話せば、女性は簡単に私の誘いに乗る‥殆ど失敗した事は無い。


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