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青い残り火
第8章 第8章
「まあ、ほかに目指すものがないからとりあえず」

「お母さんが中学の先生だったよね」

「そ」

店員が二人の前にチョコレートパフェを置き、「ごゆっくりどうぞ」と会釈して席を離れた。

長いスプーンに生クリームをのせて頬張る一馬が心なしかよそよそしく感じられる。それでも芽衣は「おいしい?」と笑顔で訊いた。

「うん」

貴重な二人の時間を大事にしたかった。お互い進学に不安を抱えるような成績ではなかったし、それぞれの希望の学部へも問題なく進める目処はついている。
それは千紗も桃香も同様で、二人とも余裕をもって高校最後の夏休みを謳歌しているのだ。

「ねえ知ってる? 桃香と鈴木の事」

「……ん? ああ、付き合う事になったんだろ?」

「そうなの、明日は水族館に行くんだって」

「へー」

呑気に返事を返した一馬は、フォークに突き刺したバナナを大口開けてぱくりと食べた。

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