この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater4.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
青い残り火
第8章 第8章
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
一馬は振り向くわけでもなく、けれど真っ直ぐな視線は芽衣を見ているでもなかった。
「一馬」
呆けた顔で視線が泳いでいる。
「一馬ったら!」
「えっ……」
「ぼんやりしないでよ、今の人だれ?」
「あ、あぁ、バイト先のお客さん。常連なんだ」
一馬はそう言うと、握っていた空のグラスを口に運んだ。
「あ……」
「やだ落ち着いてよ、どうしたの?」
「やばっ、バイト行かなきゃ、遅刻だ。ここ俺が出すから」
「大丈夫、私持ってるから」
オーダー票を掴んで立ち上がる一馬に、芽衣は訊きたいことがたくさんあった。
客がなぜ親しげに彼の名を呼ぶのか
なぜ一馬があの女に連絡できるのか
理恵子とは誰なのか
そしてなぜ、彼女はあんな風に一馬に触れたのか……
客でしょ?
ただの……
「ごめん芽衣、またな」
「ちょっと、一馬……」
急ぐ彼を追い掛ける気力も、引き留める言葉もなかった。
「一馬」
呆けた顔で視線が泳いでいる。
「一馬ったら!」
「えっ……」
「ぼんやりしないでよ、今の人だれ?」
「あ、あぁ、バイト先のお客さん。常連なんだ」
一馬はそう言うと、握っていた空のグラスを口に運んだ。
「あ……」
「やだ落ち着いてよ、どうしたの?」
「やばっ、バイト行かなきゃ、遅刻だ。ここ俺が出すから」
「大丈夫、私持ってるから」
オーダー票を掴んで立ち上がる一馬に、芽衣は訊きたいことがたくさんあった。
客がなぜ親しげに彼の名を呼ぶのか
なぜ一馬があの女に連絡できるのか
理恵子とは誰なのか
そしてなぜ、彼女はあんな風に一馬に触れたのか……
客でしょ?
ただの……
「ごめん芽衣、またな」
「ちょっと、一馬……」
急ぐ彼を追い掛ける気力も、引き留める言葉もなかった。
![](/image/skin/separater4.gif)
![](/image/skin/separater4.gif)