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青い残り火
第12章 第12章
生徒の合唱を共に口ずさみ、時々頷いて聴き入る姿は真面目な一教師だった。

「泣くことすら出来ないの」

それは教師の立場上、という意味だろうと芽衣は理解した。

「ねえ見て、ジミ田だよ」

後ろにいる女子のお喋りが聞こえてきた。富田が神谷由香利の隣に並び、短く言葉を交わして頷き合っている。

「失恋した者同士で付き合えばいいのにね、ふふっ」

それを聞いた芽衣は無性に腹が立ち「失恋したことあるの?」と、振り向きざまに言ってしまった。

「すみません」

彼女達は図書委員会の二年生で、芽衣の後輩だった。

「あ、ごめん、私語で歌が聴こえなかったから」

「いえ、気を付けます」

小さくなった後輩達を前に、こうなったのも元々は自分のせいなのだと、自己嫌悪に陥った。

「そうだ芽衣、後夜祭が終わったら三人でご飯食べようよ。ねぇ桃香、そうしない?」

「うん、それいい考え、そうしようよ芽衣」


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