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青い残り火
第13章 第13章
「一馬、ごめんね。私のせいで酷いことになっちゃって。……動画の事、黙っててくれてありがとう」

「あぁ、いや、礼なんていいよ」

芽衣は一度俯き、すぐに明るく言い放った。

「早く行って」

「うん」

一馬は芽衣とすれ違い、階段を四、五段上がった所で振り向いた。

「芽衣、メールありがとう」

「いいの、あれはさよならの代わり。じゃあね一馬、バイバイ」

「芽衣……ごめんな」

降りてゆく芽衣を見送り、階段を駆け上がった。職員室のドアを勢いよく開けると、大きな紙袋を抱えた西崎澪がこちらに向かってくる。

「先生」

早くなる鼓動に、変わらぬ恋心を実感した。

「……藤村さん」

眼鏡の向こうで見開かれた目に、うっすらと光るものを見つけた。

「あの、もう、行くんですか?」

「……はい。お騒がせしてしまったのに、皆さんにはご挨拶もないままで、申し訳ないです」

あの日、三島に抱かれていた美しい女が、今は教師の顔でそこにいる。


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