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青い残り火
第13章 第13章
「えー、自習が多かった国語総合ですが、明日から新しい先生が来てくれることになりました。安心して授業に取り組んでください」

富田の報告に、生徒達は整然としていた。
二人の教師がいなくなっても淡々と時は過ぎ、誰かがその空白を埋めれば皆がそれに慣れ従ってゆく。
一連の騒ぎは過去のものとなっていった。秋の足音に皆が聞き耳をたて、暑かった夏は忘れ去られる。

一馬は毎日職員室を覗いた。西崎のいた机を確認し、空席に胸を痛めた。そこに座ってペンを走らせていた人は何者だったのか。自分は幻影に惑わされていたのではないかと、消えない後ろめたさが記憶をすり替えようとする。
あの席が埋まれば、西崎がそこにいた事を忘れて楽になれそうな気がした。

その日の放課後も、彼は階段を下り、二階の廊下から職員室を覗いた。空いている筈の西崎の席に、小柄な若い男が座っている。身体を傾け、机の引き出しを開け閉めしていた。

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