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第8章 夏―2.9

直樹、何の用でかけてきたの？


今日、旦那は？


仕事よ


じゃあ、逢えない？


明日、約束したわよ？


明日も逢えばいいだろ？


残念。。。先約があるの


チッ。。。先約、何？


秘密。。。


っ。。。まあ、いいか。。。

元気そうな声が聞けたしな？

じゃあ、明日な？


そうだね。。。明日。。。


電話を切ると、堪らなく逢いたくなってしまう

チャイムが鳴り、出前が届いたようだ

お寿司を受け取り、リビングに戻ると、茉莉と蓮が話をしていた

だいぶ、落ち着いたのか泣き止んでいるようだ

食事は、普通に食べたい私は、何も聞かないで、支度していく


食べましょう？


蓮と、茉莉を見るとわりと落ち着いている


いただきます


３人で、テレビを見ながらたわいない話して、食べていく

食事が終わり、片付けていく

コーヒーを入れて座る


知ってる？

妊婦は、カフェインはダメなのよ

茉莉ちゃんは、妊婦じゃないから、飲めるわよね？


チクリと嫌味を言いながら、茉莉を見る


何で、妊娠してないのに、妊娠してるなんて言ったの？


っ。。。はじめは。。。軽い気持ちだったんです

陸が、他の女を好きになったみたいで、引き止めたくて。。。


はあ？

そんな理由？


っ。。。妊娠してるなんて言ってないです

ただ、生理が来ないって言っただけなのに。。。

お父さんと、お母さんが。。。


何？


妊娠してる可能性があるなら、そう嘘をつけばいいって。。。

陸に、聞こえるように、お前だけの体じゃない、とか言って。。。

遠回しに妊娠しているように思わせてたんです。。。

っ。。。ごめんなさい。。。

本当にごめんなさい。。。


直樹のヤツ。。。ムカつく。。。

で？嘘を、つき続けていくつもりだったの？

いつかは、バレてしまうわよ？


嘘を本当にすればいいって。。。


茉莉の目から涙がポロポロこぼれていく


夏休みに、１週間くらい旅行して、その間に流産したことにすればいいって。。。


っ。。。直樹が言ったの。。。？

流産したことにすればいいって。。。？


お母さんです。。。


流産するのが、どれくらい怖くて、辛いかなんて、わからないわよね。。。

この嘘は、私にとって、１番許せない嘘だわ。。。


怒りで、体が震える