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好きになった人
第8章 夏―2.9
誠を見ると、泣いている

涙を拭うと、ギュッと抱きしめてくる


一緒に行く?


行くわ


後悔しない?


大丈夫よ、誠がいるから。。。?


ありがとう。。。


...


蓮と、陸は二人で残ることになった

家は処分しないで、二人に留守を預けることにした

実家も近いし、助けてくれるだろう

夏休みに入って、しばらく戻らない日本に未練を残さないために、片付けを始めた

喫茶店は辞めた

誠との思い出以外のものを全て捨てた

服、靴、かばん

片付けていくと、懐かしい写真が出てくる

高校生の私の思い出は、直樹だらけで、なかなか捨てられずにあったものを捨てた

本、CD全て捨てた

何もなくなっていく部屋に、寂しさを感じながら処分した

もしかしたら、日本には帰れないかもしれない。。。

全てを片付けていくと、空っぽのジュエリーボックスに蓮と、陸への手紙を入れた

そして、最後の直樹への手紙を入れ

もしも、何かあった場合に伝えなくてはいけない。。。

保険証券類、通帳類、印鑑、家の権利書類など、引き出しに入れて、鍵をかけた

ジュエリーボックスに鍵を入れて、ロックする

更に備え付けの鍵をかけた

鍵をチェーンにつけて、封筒に入れて、1番上の引き出しにしまった


何かあった場合は、引き出しを開けてください


これで、私に何かあった場合、伝えなくてはいけないことも伝えられるだろう。。。


お盆が過ぎると、誠ともう会えなくなる人達に挨拶に回って行った


8月26日には、日本を発つ

皮肉にも、チケットがとれた日は8月26日だった

直樹と、付き合い始めた日は誠に出逢った日に変わり、二人の出発する日になっていく


誠。。。お願いが、あるの。。。


何?


直樹に、逢いに行ってもいい?

伝えたいことがあるの。。。


いいよ。。。


あれから、茉莉は陸に妊娠してないことを伝えた

陸は、特に何も言わなかったらしい。。。

二人は、変わらず、付き合いを続けるようだ

誓約書は、返してもらったことにして、伝えた

直樹は、まだ誓約書がなくなったことに、気づいてないようだ



直樹に電話していく


逢えない?

直樹に逢いたいの。。。



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