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月光の誘惑《番外編》
第2章 月下の桜(二)

「んもー、ごまかさないで」
「朝は二回。夜は四回。足りないなぁ」

 あかりが「私は満腹なのに」とぶつぶつ呟いているのを無視して、笑う。

 好きだよ、あかり。
 ずっと、そばにいてよ。
 セックスだけの関係でいいから。

 桜はどんなに枝を伸ばしても、月には届かない。
 俺がどれだけ想っても、あかりは振り向いてはくれない。

 俺が進むのは、気まぐれな月が堕ちてくるのを待つだけの、茨の道。
 けれど、月が堕ちてくる日が来るとは限らない。

 でも、いつかそのときが来たら、俺は喜んで、君にすべてを捧げるよ。

「あかり、メリークリスマス」

 斜め下からの笑顔に、俺は恋に落ちた。

「メリークリスマス、翔吾くん」

 偽りの恋に、終わりが来ないことを願うなんて、バカげているけど。
 願わずにはいられない。

 メリー、クリスマス。






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