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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第1章 ムーランルージュの夜
数日後、縣はヴァンドーム広場にあるオテル・リッツ・パリでディナーを取りながらボルドーのワイナリーの主人との商談を済ませ帰宅した。
日本に輸入するワインの候補もだいぶ絞られてきた。
手応えに満足しつつ書斎に篭り、商談で交わした契約書を見直していると、玄関ホールが賑やかな声に包まれた。
アンヌに案内されたジュリアンがノックするやいなや、陽気な声を上げながら入って来る。

「出かけるよ、アガタ!さあ、着替えて…ああ、その格好で十分だ。君は家でも身嗜みが良いね」
「さっきリッツから戻ってきたばかりだから…いや、それよりどこに行くんだ?」
ジュリアンは悪戯っ子のような笑みを浮かべ、形の良い唇に人差し指を立てた。
「アンヌには内緒だ。…いいところさ。さあ、そんな書類なんて後回し後回し!」
ジュリアンに強引に腕を取られ、慌てて立ち上がる。
「お、おい…ジュリアン!」

茶器の盆を持ったアンヌが部屋に入ろうとして目を丸くする。
「まあ、ジュリアン坊ちゃま、こんな夜遅くからお出かけですか?ショコラをご用意いたしましたが…」
ジュリアンは誰もがうっとりせずにはいられない天使のような微笑みをアンヌに向けた。
「アガタに素敵な夜のパリを案内するのさ。
…ああ、アンヌはもう帰っていいよ。アガタは僕が送り届けるからご心配なく。ご苦労様だったね」
何か言おうとしたアンヌにジュリアンは素早く頬にキスを与える。
アンヌは小娘のように目元を赤らめ、苦笑する。
「…仕方ないですね。お気をつけてお出かけくださいませ。お車のスピードはほどほどに…。
アガタ様、ジュリアン坊っちゃまをよろしくお願いいたしますね」

口笛でも吹きそうな勢いで上機嫌なジュリアンにルノーの助手席に押し込められる。
「本当に…どこに行くんだ?」
「着いてからのお楽しみさ」
ジュリアンは窓を全開にして車のエンジンをかけた。
晩秋のパリの夜の冷気が忍び込む。
車が滑らかに滑り出し、ジュリアンの金髪が風に靡くのを見ながら、縣は観念したように溜息を吐き、座席に身を沈めた。
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