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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第1章 ムーランルージュの夜
熱いエスプレッソを一口飲み、縣はふとアンヌに尋ねる。
「…ピガール広場には随分怪しげな店があるのだね」
アンヌは暖炉の火の様子を気にかけながら、眉を顰めてみせた。
「あそこに並ぶ店は口に出すのもおぞましい店ばかりですわ!全く、パリの品位を下げています」
「…そうだね。…例えばだけど、あの界隈を若い普通のお嬢さんがそぞろ歩きをすることはあるのだろうか?」
アンヌは大袈裟に首を振り、目を見張った。
「まあ!そんなこと!絶対にありませんわ!」
そして強い侮蔑の口調で
「あんないかがわしい界隈を歩く娘は娼婦か…でなければそれに準ずる堕落した娘だけですわ!」
と言い放ち、身震いしながら十字を切った。

縣は雰囲気を変えるように明るく笑い、手を挙げた。
「いや、不愉快な質問をしてすまなかった。
…ちょっとした好奇心で聞いてみただけだよ。…ありがとう。アンヌ。もう帰宅して構わないよ」
アンヌはすぐに普段の落ち着きを取り戻し、膝を折って恭しくお辞儀した。
「承知いたしました。アガタ様。それでは失礼いたします」
「ご苦労だったね。ありがとう」
「お寝みなさいませ。アガタ様。また明日、お伺いいたします」
アンヌは鍵束の音を静かに奏でながら、居間を後にした。

1人になった縣は、マントルピースの暖炉の火を見つめながら、ネクタイを緩める。
ピガール広場の界隈は色街だ。
アンヌが言うように、キャバレーだけでなく公然とした娼婦館も軒を連ねている。
そのような場所を光が歩いている筈がない。

…ムーランルージュで、梨央さんの話が出たからつい連想してしまっただけだろう。
「…そうだ。人違いだ…。あの女性が光さんなはずがない。私も妙な見間違えをしたものだな」
縣はそう独り言ちると気持ちを切り替え、居間を出て階上の自分の寝室に向った。


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