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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 聖夜の恋人
…この屋敷に、まさか光さんに会いに来ることになるとは…。
人生は分からないものだな。
縣は感慨深げに麻布の北白川家の青銅の門扉を潜り、車寄せにタクシーを止めさせる。
…ここには今までは梨央さんに会いに来ていた。
何度も、数え切れないほど…。
毎回、抑えきれぬ昂揚感とときめきを抱きしめながら…。
だが、今日は…。

車の気配を察して、この屋敷の執事…月城が静かに重々しい玄関のドアを開ける。
そして…
「…縣様、お久しぶりでございます。ようこそお越しくださいました」
相変わらず、怜悧なひやりとした月の光のような美貌だ。
月城はまるで、縣が今日この屋敷を訪ねることが予めわかっていたかのように、柔かに挨拶をした。

「久しぶりだね。月城、元気そうでなによりだ」
縣は帽子を取りながら、月城に笑いかける。
だが心は急いているので、早急と思いながらも玄関ホールに脚を踏み入れるやいなや尋ねる。
「…突然伺って申し訳ない。…そして唐突にすまないが…光さんはいらっしゃるだろうか」
「はい。いらっしゃいます。…ただいま居間の方でお嬢様方とお茶を召し上がっておられます。
ご案内いたします。…どうぞこちらへ…」
縣が光を名指ししたことに全く不審な表情を見せることもなく、月城は優雅な仕草で縣を奥に誘なう。

重厚な真紅の天鵞絨の絨毯を踏みしめ、縣は緊張した面持ちでゆっくりと歩き出した。
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