この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第2章 ピガールの麗人
縣は光を車の後部座席に押し込めると、素早く自分も乗りこんだ。
ジュリアンはエンジンを掛けるとアクセルを勢い良く踏み込み、目にも留まらぬ速さで車を発車させた。
この辺りは石畳みの状態が悪いので、ガタガタと車体が左右に激しく揺れる。
縣は車の衝撃から光を守るように無意識に、その華奢な身体を抱き締めていた。

暫くして、光が憮然としたように呟いた。
「…もう逃げないから…」
「え?」
「逃げないから手を緩めて。…痛いの」
縣は慌てて掴んでいた光の手首から手を離す。
白く華奢な手首にくっきりと赤く痕が付いていた。
「失礼。大丈夫か?」
光は返事の代わりにふて腐れたように、窓の外に顔を背けた。
「…どこに連れて行く気?」
真紅の肌襦袢から覗く肌が仄白く、ネオンを映す瞳は謎めいた琥珀色に濡れ、光の尋常ではない美貌を引き立たせていた。
縣は思わず光に見惚れながら、努めて冷静に答える。
「私は今、16区のジュリアンの別邸に間借りしているんだ。
そこで、ゆっくりと君の話を聞きたい。…なぜ、君があんな場末のキャバレーで淫らなショーに出ようとしていたのか…」
その言葉を聞くやいなや、肩まで伸びた黒髪がふわりと靡くほど勢い良く振り返る。
光は形の良い柳眉を跳ね上げ、くすりと笑った。
「…淫らなショー…ね。…はっきりヌードショーと言えばいいのに。相変わらずお上品な縣様。文句のつけようがない紳士だわ」
縣は小さく溜息を吐く。
「なぜ君はいつもそう好戦的なんだ。…私が嫌いなのは分かるけれど、もう少し穏やかな言い方ができないのか?」
光は華奢な肩を竦める。
「…私を嫌っているのは貴方でしょう?私が梨央さんを好きだった頃からずっと…。それだけじゃないわね、私は淑女じゃないし、奔放だし、我儘だし、生意気だし…こんな私に1000フランも払っちゃって…フフ…本当にお人好し!お金持ちが仇になったわね」
皮肉めいて笑う光に縣は何か言おうとしたが諦め、口を噤んだ。

その場の雰囲気を変えようと、ジュリアンが運転席から明るく口を挟む。
「アンヌはもう帰宅しているから良かったよね!…もしいたら、マドモアゼルの格好を見て卒倒してた」
…しかしそれは全く成功せず、車内の雰囲気は再び重く沈み込んだだけであった。

/133ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ