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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 16区の恋人
光はフロレアンとの短い休暇を終え、再びロッシュフォール家に戻ってきた。
「お帰り、ヒカル!君がいなくて寂しかったよ!」
ジュリアンは光が玄関ホールに入るなり、抱きついた。
そのさまはまるで、姉を慕う弟のようだ。
「ただいま、ジュリアン。」
数日ぶりに会う光の瞳はきらきらと輝き、肌は抜けるように白く、唇は薔薇のように紅く艶やかであった。
「サンリスはどうだった?あそこはまるで中世のまま時間が止まったような街だろう?」
「ええ、そうね。美しい街だったわ。…でも、ノートルダム大聖堂以外は見学していないの」
きょとんとするジュリアン。
「なぜ?せっかく観光に行ったのに?」
光は艶めいた眼差しでジュリアンを見ると、淫靡に微笑んだ。
「…フロレアンとずっとペンションのお部屋にいたから…」
「…へ?…あ、ああ!そ、そういうこと…」
たじたじになるジュリアンを横目に、縣が咳払いしながら現れた。
男らしい眉が不快そうに顰められている。
「…君はなぜそう秘め事に対してあけすけなんだ…。私は大和撫子が性に関する話を自らするのは好ましく思わないのだがね」
「あら、縣様。…もしかして、妬いていらっしゃるの?」
光が形の良い唇を色っぽく窄めて縣を見上げた。
「妬く?私が?君とフロレアンの仲を?ははは…!まさか!君も大概自惚れが強いね」
フッと鼻で笑った縣に光がむっとする。
「自惚れですって?」
また険悪な雰囲気になりそうな二人を察知して、ジュリアンは間に分けて入った。
「ま、まあまあ…!…そうだ!フォンテーヌブローではアガタは女性に大人気だったんだよ。遠乗りのあと、近くの城主の夜会に招かれたんだけど、ご婦人やご令嬢にアガタを紹介してくれとねだられて本当に忙しかったよ」
「へえ…皆さん、ムッシューアガタの本当のお顔をご存知ないのね、お気の毒…。本当はこんなに意地が悪くて皮肉屋なのに」
光は冷ややかに肩をすくめる。
縣はにやりと笑う。
「残念だったな。意地悪は君限定だ。私は他の方々には常に紳士なのだよ。…さあ、仕事だ。光さん、新しく契約するワイナリーから書類が届いている。今すぐ翻訳してくれたまえ」
縣は颯爽と大階段を昇り始めた。
「わかったわよ。もう!」
光は憤慨しながらも縣の後に従った。

「…全く…おかしな二人だな」
ジュリアンは階下から二人を見送ると、呆れたように肩をすくめで首を振った。

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