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belle lumiere 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 16区の恋人
綺麗にテーブルセッティングされたリネンの上に縣は出来上がった料理の皿を並べる。
「ポルチーニ茸のオムレツとルッコラとトマトのサラダ、チーズフォンデュ…あり合わせだからこれくらいですまないね」
光が眼を輝かせる。
「すごいわ!美味しそう!」
「チーズフォンデュは取引を決めたブルゴーニュのワイナリーの白ワインを使ってみたんだ」
蕩ける熱々のチーズフォンデュを一口食べるなり、光が叫んだ。
「すごく美味しい!」
縣は顔を綻ばせる。
「お気に召していただけて良かった」
光はオムレツも口に運ぶ。
「オムレツも美味しいわ!…縣さん、どこで料理を覚えたの?」
美味しそうに食べる光を嬉しそうに眺めながら、縣はワインを一口飲む。
「私は高校は全寮制の学校だったんだ。馬術部にも入っていたから上下関係が厳しくてね。先輩の夜食を作ったりしなくてはいけなかったから、自然に覚えたのさ」
「へえ…」
光も白ワインを口に運ぶ。
そして、情緒を含んだ眼差しで縣を見つめた。
「…ハンサムで秀才で仕事も出来て優しくてダンスの名手でその上、料理上手?…貴方と結婚する人は幸せね。…その方がちょっと羨ましいわ」
縣はじっと光を見つめた。
「本当に?」
光は琥珀色の瞳を真っ直ぐに向ける。
「…ええ、本当よ」
縣は手を伸ばし、光の白く嫋やかな手を握った。
光の手が僅かに震えた。
「…でも君には恋人がいる」
縣の指がまるで愛撫するかのように光の手の甲を優しく撫でる。
「…ええ、そうね。…私にはフロレアンがいるわ」
「…残念だよ…」
幼子にするように、光の手を軽く叩くと縣は静かに微笑む。
「…信じられないかも知れないけれど…私も残念な気持ちよ…貴方はとても素敵だもの…」
光はもう片方の手で、縣の手を包み込むように握りしめた。
魔法にかかったかのように縣がゆっくりとテーブルから身を乗り出し、光の形の良い顎を引き寄せる。
光の宝石のように煌めく瞳を見つめながら顔を近づける。
珊瑚のように色づく唇に吸い寄せられるように近づき、互いの吐息が触れ合った瞬間、縣ははっと我に返り、一瞬目を閉じると、万感の思いで離れた。
縣は何かを訴えようとした光に少し寂しげに笑いかけ、兄がするような親愛なキスを美しい額に落とした。
「…おやすみ、光さん。お互い今夜は少し酔っているようだ」
そして光を残し、そのままダイニングを後にした。





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