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愛憎
第10章 困惑

ゆうはボーッとしながら、煮込ませているカレーを焦げが付かないようにお玉でぐるぐると回していた。

足元で、娘の雪香が
「良い匂いね〜」
と言っている。

そうね〜と雪香に声を掛けながら

(まこちゃん、どうしてあんな事思い立ったんだろう)

職員室で誠が言い出した事を思い出していた。

プツップツッ
と、時たま沸騰しているカレー。

(ああ…もう良いかしら。この位にしとかないと、野菜が溶けちゃう…)

とろ火にしていたカレーの火を止めようとした所

「ただいまー」

と、澤村が帰ってきた。

ゆうは火を止めるのを忘れ、

「健ちゃん、おかえりなさい!」

ゆうは帰って来た夫に駆け寄って行った。

一緒に駆け寄って行った雪香が


「パパ、おかえりぃ〜!」

と、父に抱き付いている様子をゆうは目を細めて眺めていた。





あのねー、今日ねー

と、雪香は父である健太に話を掛けている。

うん、うん、と、その話に目尻を下げて相槌している健太。

ゆうはその間にとろ火にしてある火を止めに行こうと思った。

そんな時

「なにぃー!!キスされただとぉー!!」

健太が突然叫び声を上げた。

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